序章 五新鉄道と前田正男


私が五新線を調べている中で、史上をなぞるのではなく、人物に光を当てて調べてみたいと考えていたのが前田正男であった。地元五條に幼少時代を過ごし、代議士として地元の敷設に注力しながら科学技術庁長官を務め、日本の原子力政策に大きくかかわった人物である。

国家政策として推し進められた鉄道―五新線であるが、作ろうと考えたのもやめようとさせたのも(ひとりもしくは複数の)人である。五新線の歴史を考えたときに、かかわってきた人のことを素通りしてしまうと、大切なことが切り取られているような気がしていた。彼らの住んでいる環境やその時代の出来事、政治的な試みも含めて調べてみると、五新線がまた違う角度から見えてくるのではないか、と前々から強く感じていたのである。

しかしいざ調べ始めると、五新線の探索と異なり、調べたことをうまくまとめることが困難であることに気付いた。気合を入れれば断片的にいろんな情報が集まることは集まるのだが、どのように加工してつなげてよいのかわからない。さらに、明治から昭和にかけての日本の歴史も全く分かっていないため、理解することが膨大な量となっていった。そのため途中で嫌気がさしてきて、数年間は書き溜めた断片を公開できない状態が続いていた。

あるときふと文章を読み返してみると、割とよく調べてあるな、という感じがした。もっと手を入れればさらによくなるかもしれないという印象をもった。これはとても珍しいことだ。大概はそんなことは思わない。
前田正男
1月 13, 2019
0

コメント

サイト内検索

連絡