十津川

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平谷

十津川最後の訪問地である十津川温泉停留所に着いた。

ここも阪本と同じように川の幅が広くため池のようになっているのだが、水の色が茶色く濁っていた。平谷の旅館の方に話を伺ったところ、これも災害の影響だという。昨年の大洪水で2ヶ月間温泉が出なくなってしまった。その後出るようになったが、十津川の水の色は戻らない。本当はきれいな緑色をしているのですよ、といわれた。

倒れた流木や崩れた土砂が周りに目立ち、破損された陸橋は迂回路を作って今まさに修理している最中だった。

しかし、十津川全体が停滞しているという感じはほとんどしなかった。バス乗り場付近の「町のコンビニ」にて若者たちが店の前でずっとおしゃべりをしていた。どこでも変わらないものだ。

村の様々な場所で、復興をめざすポスター(ステッカー)が目に留まった。東日本大震災もそうだが、多くの災害はその場で経験した人を除けば、報道され続けることによってしか人びとの記憶には留まらない。そのくらい日々の情報が人間の中を通り抜けて行ってしまっている。しかし、ここでは災害は人びとの記憶からすで消え去っているわけでは決してない。

今後を踏まえてより安心な安全な村を目指して、ライフラインである国道は改良を続けていくだろう。
翌朝のバス待合室には学校へ向かう黄色い帽子をかぶった小学生たちが賑やかに座っていた。備え付けの漫画本を読んでいる児童もいる。皆明るく屈託のない笑顔をしている。

明治維新の際には天皇に仕えた勇ましい直向きな姿で、明治の大洪水の際には北海道へ新天地を求めたように、また歴史を作っていくのではないかと考えながら十津川を後にしたのであった。

溜池
溜池
(撮影:2012年03月15日)